喉の腫れを侮るな!放置しちゃいけない扁桃炎

繰り返す場合は扁桃を摘出する方が良いの?

数々の医療器具

何度も扁桃炎を繰り返す反復例の場合は、手術を勧められることがあります。
多くの人は手術は痛いし辛いし費用もかかるので、出来れば薬物療法で何とかならないのだろうかと思うでしょう。
では、反復するとは、どの程度の頻度の場合なのか等の基準はあるのでしょうか。

実は現時点では、日本にはこの件に関する診療ガイドラインと言った判断指針はありません。
しかし、ある病院では次のように考えられています。
他の病院でも大きな差はなく、次のような感じでしょう。

成人の場合は、1年に7回以上繰り返すか1年に5回以上が2年間続いている、または1年に3回以上が3年以上続いているケースです。
そして、以下の項目のうち1つ以上が該当する場合も手術で扁桃を摘出することを検討します。
38.3℃以上の発熱がある、首のリンパが腫れて苦痛を伴うか2センチ以上である、扁桃に白い膿のような浸出液が付着するタイプの滲出性扁桃炎、溶連菌が原因である等のケースです。
その他にも、睡眠時無呼吸症候群がある場合や扁桃に慢性の炎症があることが原因で他の部分に二次的に障害を来しているケース、扁桃周囲膿瘍の既往がある場合や抗菌薬が使えない場合、呼吸をするのも苦しいくらいの重症例などがあげられます。

二次的な障害を来している場合の代表例が、IgA腎症です。
腎臓に炎症を来してしまい、最悪の場合は人工透析が必要になるくらい腎機能が低下することもあります。
IgA腎症の場合は、ステロイドパルスと呼ばれる治療と扁桃摘出を行うのが一般的です。

扁桃周囲膿瘍を来した場合は、基本的には扁桃摘出手術を勧めるという耳鼻科医が多いです。
2回目以降の扁桃周囲膿瘍の場合は、手術が強く勧められるでしょう。
扁桃周囲膿瘍と言うのは、炎症が扁桃の周囲にまで及んで化膿している状態だと思うとよいでしょう。
薬物療法か手術か迷った場合は、手術を勧めるという耳鼻科医も少なくありません。

それは扁桃摘出術がそれほど難しい物ではない、ということも理由の一つです。
多くの若手の耳鼻科医が最初に手がける手術の一つになっています。
そして、扁桃炎の治療のためにかかる通院費用や成人の場合は仕事を休んだための損失額などもありますが、それらも含めて考えても、手術費用や手術のために休養した損失額は2年もあればペイできるからです。
手術に際しては十分にメリットとデメリットの説明を受けましょう。

小児の場合は意見がわかれています

上記の内容は成人の場合で、子供の場合の手術適応は意見が分かれています。
それは、扁桃が免疫をつかさどる組織だという問題点があるからです。

免疫と言うのは、ウイルスや細菌などの病原体を排除して、病原体から体を守ろうというシステムです。
大人になると免疫システムも完成して免疫力も出来てきますが、小児の場合はまだ免疫システムが完成していません。
免疫力がつく前に扁桃を取ってしまうことになるので、このことは多くの医師が気にしています。

細菌が原因の場合は、抗菌薬で治ることもあります。
抗菌薬は処方された分を最後まできっちりと服用してください。
良くなったと思って服用するのを止めてしまうと、細菌が生き残ってしまうリスクが高くなります。

また、大人になると自然寛解することもあるので、こういったことも手術に対して慎重になる理由の一つです。
患者さんの年齢によって考え方も変わりますが、子供の場合も前述した目安と同様の判断指針になっている病院が多いです。
子供で睡眠時無呼吸症候群を伴う場合で内科的な治療で改善が見られないケースでは、扁桃摘出とアデノイド切除を行うことが検討されるでしょう。
アメリカの小児科の診療ガイドラインでは、この治療が第一選択となっています。

睡眠時無呼吸症候群を放置した場合は、陥没呼吸と言って呼吸の際に胸が陥没したり、成長障害や夜尿症の一因にもなります。
最悪の場合は、突然死の原因となることすらあるのです。
したがって、睡眠時無呼吸症候群が疑われる場合には睡眠時のビデオ観察などを行って、問題が分かれば手術となることが多いです。

扁桃炎を放置して悪化させてしまうと、ひどい時には喉がむくんで気道を狭めてしまい、呼吸困難に陥ります。
喉を切開したり、喉に空気が送り込めるように管を挿入しなければならないこともあるのです。
お子さんが喉の痛みを訴えた場合は、早く治療することが大切です。