喉の腫れを侮るな!放置しちゃいけない扁桃炎

慢性扁桃炎などの扁桃病巣疾患の合併症、掌蹠膿疱症の病態

カルテと聴診器

慢性扁桃炎などの扁桃病巣疾患の合併症の一つに、掌蹠膿疱症も深い関係性を持つと見られることが最近の研究で明らかになっています。
慢性扁桃炎といった口腔内部の疾患と掌蹠膿疱症のような皮膚疾患とは一見すると無関係のように思えます。
ところが慢性扁桃炎をはじめとしたほかの臓器に合併症を引き起こすことが分かっています。

扁桃病巣疾患は扁桃腺の炎症などの免疫学的疾患が引き金となり他の臓器で合併症をもたらす病気のことです。
これまで様々な治療が奏功しない難治性の疾患が扁桃病巣疾患ファミリーの範疇に入ることが判明してきているのです。
現に慢性扁桃炎患者で扁桃腺を摘出することで掌蹠膿疱症などの皮膚疾患も著明な改善を見ることがあり、時には治癒したと見られる症例も報告されているほどです。

これほど劇的に改善を見る症例が出ているにもかかわらず、その関係性に注目が集まらなかったのは、扁桃病巣疾患にかかっていても特徴的な自覚症状に乏しいことにあります。
病名に「扁桃」の名前が入っている割には扁桃腺自体にはほとんど自覚症状がなくせいぜい軽いいたみや違和感をおぼえる程度ですが、他方で扁桃腺から遠く離れた皮膚や臓器・間接などに病変をきたしています。

その代表格ともいえる疾患が掌蹠膿疱症で、手のひらや足のうらなどに小さな水泡が出来ては破れる状態を繰り返すのが特徴です。
水泡が出来始める頃にはかゆみを伴うことがおおく、当初は水泡が破れて体液が流れ出るなどの症状が見られますが、時間経過に従って乾燥し、茶色っぽいカサブタを形成して剥落してしまいます。
炎症は周囲の皮膚にも波及し赤くなったり、表皮の角質が浮き上ってきてカサカサした触感になって利する変化が見られます。

この特徴的な水泡(膿疱)悪化と改善を周期的に繰り返したり、風邪などで体力が落ちたときに悪化するなど様々な経過を辿ります。
しばしば関節炎を合併することもあり、間接のいたみなどの自覚症状があるときは合併症のケアも必要になります。

腎透析も必要になるIgA腎症

慢性扁桃炎などの扁桃病巣疾患の合併症には、掌蹠膿疱症といった皮膚疾患だけでなく腎臓にも生じることがあることが明らかになっています。
IgA腎症と言う疾患もそのひとつですが、血尿やたんぱく尿などが検査時に指摘されて偶然発見されることが多く、日本国内では7-8割の患者は学校や職場の健康診断の際に偶然発見されていると見られるのです。
検査レベルで潜血反応が観察されることが多い一方で、肉眼でも観察できるレベルの血尿や浮腫などのほかの腎臓疾患ではよく観察される症状を初発症状で訴える症例は少ないとされています。

IgA腎症が扁桃病巣疾患ファミリーに分類されているのは、腎臓組織を生検採取すると免疫複合体が糸球内に大量に付着する現象がしばしば見られるからです。
糸球体とは微細な血管が豊富に存在している腎臓組織の中にあって水分や老廃物を排出する一方で、必要な栄養分を身体の内部にとどめおくという生命機能維持に重要な役割を担っている部分になります。
この部分に免疫細胞が凝集して存在しているというのは自己免役細胞に異常をきたしている状況を示唆するものです。
このことが扁桃病巣疾患に分類される根拠の一つになっています。
また慢性扁桃炎とIgA腎症を併発している患者で扁桃腺摘出術するとIgA腎症が改善することがしばしば経験されていることも指摘されています。

初発症状はほとんど無いIgA腎症ですが、適切な治療を行わないと腎機能の廃絶は進行し最終的には腎透析や腎移植が必要になります。
IgA腎症は検査で腎機能の異常を指摘されるだけで自覚症状に乏しく長期間放置されていることが珍しくありません。
扁桃腺が弱い方で腎機能の異常を指摘されたときは軽視せず治療に取り組むことが大事です。